導入事例

社内失業は人事の失敗

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社内失業は人事の失敗

「社内失業」という言葉があります。これは、従業員がその会社の正社員であるものの、行うべき仕事がない状況を指します。日本では人口減少の中で、個の労働生産性を高めようと各企業が努力する中、社内失業している人の数は、400万人を超えていると言われています。その数は今後も上昇し、いずれ全労働人口の10%に近づくとさえ言われています。労働力不足で少しでも人手が必要と嘆く企業がいる反面、仕事がない人たちが組織に蔓延しているという、大きな歪みが起きているのです。

なぜこのようになってしまったのか?考えられる原因のひとつには、ビジネス環境の変化が挙げられます。テクノロジーの進化に伴うビジネスモデルの激変、業界外からのプレーヤーの参入により既存領域が脅かされ、従来型の技術のみに精通した技術者を、新しい技術へシフトさせることに乗り遅れるといった事象が起きています。なぜ企業経営者はその変化に素早く対応が出来なかったのか?その根底にあるのは、これまでの日本型の雇用システムとして認識されてきた、新卒一括採用、年功序列、終身型雇用という仕組みがその一因と考えられます。時間をかけて社員を育て、一生涯雇用し続け従業員を守るこの仕組みは、外的環境の変化には極めて対応力の弱い仕組みでした。

変わらなくてはいけないとわかっていても・・・
いま人事の世界でも、アジャイルワークプレースという言葉が注目されています。敏捷性を求められる世の中に変化している中、組織としての変化対応力を身に着けることが必要不可欠となっています。「変わらなくてはいけないとわかっていても、なかなか変われない」そのような組織において、人事の果たすべき役割は極めて大きいものがあります。人事担当者には、経営戦略に連動した、変化対応力ある組織を構築することが求められ、それを実現できる企業文化や人材を育てていくという、文字通りの「戦略人事」の実現が待ったなしの状態となっています。

では人事は一体何から手を付けていくべきなのか?人事が果たすべきことは非常に多くありますが、どこにその糸口を見つけていけばよいのでしょうか。

ある企業の事業責任者がこんな話をしていました。「ある人材がAという部署でパフォーマンスが上がらず、マイナスの評価がついてしまった。仕方なくその人材をBという部署に移した途端、別人のように生き生きと働きだした。」また、全く逆のケースで、部署異動によりパフォーマンスを落とす人材もいます。このような不思議な化学反応が多くの組織で起こっています。このような事象が示唆することとは何でしょうか?

個を見る時代の人事マネジメント
いま求められる、人事が持たなければいけないひとつのスキルは、個と役割のマッチングを見る力です。これまでは、高度経済成長の中で、男性中心社会、統一的な価値観、一つのベクトルへの努力をすることで成果が上げられる時代でした。しかしそのような市場環境はとっくに変わり、現在では、女性活躍を含む多様な人材が織りなす多様な価値観、ベビーブーマーとミレニアル世代に代表される世代間ギャップなど働く人の複雑化が進んでいます。このように答えが見えず先が予測できない環境においては、人材一人ひとりの「個を見極める」ことが必要不可欠になっています。

もしかすると社内失業者にも、輝ける個性が備わっているかもしれない。ただそれを見ようとしなかったがために、生かせていないだけなのかもしれない。そう考えると人事が果たさなければならない役割として、まずは目の前のその人材の持つ可能性に目を向けることがすべてのスタートになるのではないでしょうか。個を見る時代の新たな人事マネジメントの確立は、組織内に眠っている労働力を発掘し、社員の働き甲斐を創出する、大きな可能性を秘めているのです。

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